奥島孝康総長。
平成13年度早稲田大学校友会秋田県支部総会の際控え室。人生劇場には5番まであるのを知ってるかといわれ、私は、「ええっ!5番もあるんですか、知りませんので手帳に書いてください」と頼んだ。
毎年、秋田の金浦町産のナマコの瓶詰めを食べるのを楽しみにしておられる奥島総長は気軽に、私の手帳に書いてくれた。
それが左記の人生劇場5番の歌詞である。
懇親会では学帽をかぶって、人生劇場をセリフいりで5番まで最後まで歌われる総長。
まさに脱帽でありました。(平成13年8月)
人生劇場(早稲田大学第二校歌)
早稲田の杜が芽生く頃、花の香りは沈丁花(ちんちょうげ)、人生意気に感じたら、びくともするなと銅像が、ビクともせずに風に立つ。崩れかかった築山は、江戸の昔の高田富士、町を見下ろす天辺で、意気に感じた若者が、夕日に向かって吼えていた。春と一緒に青春の、波がドンドン押し寄せて、男子(おのこ)ばかりか女子(おなご)まで、杜の宴に酔いし
れる。
逢うは別離(わかれ)の始めとか、さよならだけが人生さ、ああ人生のローマンス。
昨日も聞いた今日も見た、早稲田の杜に青成瓢吉の出るという。
ご存知尾崎士郎原作「人生劇場」の一節より。
ああ歓楽は女の命にして、虚栄は女の真情であります。
わずか七日ばかりの享楽を得んがため、哀れはかなくも美しき乙女の貞操は犠牲に供ぜられたのであ
ります。
覆水盆に返らずのたとえあるが如く、親をいつわりし罪、いと深きかな。
ああ哀れメリーさんよ、チンタッタ、チンタッタ。
1
やると思えば どこまでやるさ
それが男の魂じゃないか
義理がすたれば この世は闇だ
なまじとめるな 夜の雨
君見ずや荒川土手の緑、さらに緑なるその中に、一点の紅を点ずる者あり、その名をお袖という。
月よし、酒よしお袖さらによし。深窓の令嬢に恋する真(まこと)の恋と誰がいう。
泣いて笑ってこびを売る月下の酒場の女にも水蓮の如き純情あり。
そのとき、かの熱血漢新海一八はこうつぶやいたのであります。
「我が胸のもゆる想いに比ぶれば煙は薄し櫻島山。」
2
あんな女に 未練はないが
なぜか涙が 流れてならぬ
男ごころは 男でなけりゃ
わかるものかと あきらめた
時は大正の末年、夕暮れのいと寂しき処、三州横須賀村、印ばん天にもじりの外套、雪駄(せった)に乗
せる身もいと軽く、帰り来たりしは音にも聞こえし吉良常なり。
3
時世時節は 変わろとままよ
吉良の仁吉は 男じゃないか
おれも生きたや 仁吉のように
義理と人情の この世界
ああ夢の世や夢の世や、今は三歳のその昔、いとなつかしき父母や、十有余年がその間、朝な夕なに
眺めたる、春は花咲き、夏茂り、秋はもみじの錦布(き)ぬ、冬は雪降る故郷の、生まれは正しき郷士にて、
ひとり男子(おのこ)と生まれたる、宿世の恋のはかなさか、はたまた運命の悪戯か、うきたつ雲にさそわ
れてひとり旅立つ東京の、学びの庭は早稲田なり。
4
端役者の 俺ではあるが
早稲田に学んで 波風受けて
行くぞ男の この花道を
人生劇場 いざ序幕
5
早稲田なりゃこそ 一目でわかる
辛い浮き世も 楽しく生きる
バカな奴だと 笑わば笑え
人にゃいえない こころいき
人生劇場
佐藤惣之助 作詞 英訳 B. Ito
古賀 政男 作曲
1
やると思えばどこまでやるさ
On_ce you_ ha_ve decided to do_, / you should do_ i_t to the la_st.
それが男の魂じゃないか
I_t i_s the_ real manly_ / spi_ri_t, isn’t i_t ?
義理がすたれりゃこの世は闇だ
I_f du_ty_ were_ put asi_de , / this wor_ld would be_ too_ dar_k.
なまじとめるな夜の雨
Won’_t you_ stop me ha_lfwa_y ? / Oh, you__, ni_ght rain !
2
あんな女に未練はないが
I_ won’_t fee_l any attachmen_t / to_ such a_ woma__n.
なぜか涙が流れてならぬ
But I can’__t help holdi_ng / ba_ck my_ tear__s.
男ごころは男でなけりゃ
Only_ men_ could understa__nd / the_ wa_y a man_ wou_ld think.
解るものかと諦めた
So_ there’s no he_lp but I ha_ve to__ / give it u_p a_t la_st.
3
時世時節は変ろとままよ
Time and situations_ ma_y chan_ge / at any pa_ce and manner_s.
吉良の仁吉は男じゃないか
K_ira’___s _Nikichi was a ma_n, / what a ma_n shou_ld ha_ve bee_n.
おれも生きたや仁吉のように
I wi_sh I_ could live m_y li_fe, / ju_st li___ke Nikichi di__d,
義理と人情のこの世界
In thi__s very wor_ld / o_f lo_ve and du_ty__
4
端役者の 俺ではあるが Though it is me of the minor part person
早稲田に学んで 波風受けて It learns to Waseda and wave style receiving
行くぞ男の この花道を I will be going this flower road
of Otoco.
人生劇場 いざ序幕 Now my life theater is the beginning.
2003. 10. 28, 31 Translated by: B. Ito
(2003. 10. 30, 11/ 2 comment
from H. Shimizu, B. Ito’s BBS)
5
早稲田なりゃこそ 一目でわかる When it is Waseda, it understands at one view.
辛い浮き世も 楽しく生きる lives happily in painful world.
バカな奴だと 笑わば笑え can laugh when it is foolish that fellow
and cannot said to Hit
人にゃいえない こころいき Mind living that is laughed.