全国職人学会
大工さんが1位、職人さんが3位になった。
クラレがこの春小学校に入った新一年生に、将来就きたい職業アンケートをした。男の子の志望が何と、昨年23位の「職人」がスポーツ選手(1位)、警察官(2位)についで3位に浮上したとある。
今春発行の永六輔さん著「職人と語る」のあとがきにある。「今年、子ども達の憧れの職業で「大工」が一位になったのだ(第一生命調べ)」
その永さんに3月15日、東京・阿佐ヶ谷の新東京会館で会ってきた。
全国職人学会inあきたの打ち合わせのため。職人学会の呼びかけ人で秋田市の染め物職人、工藤幸彦さんは永さんにカスベ(エイ)の煮物をおみやげに渡した。
第1回の全国職人学会は昨年10月、小樽市で開催された。我が国経済の建て直しは「モノづくり」の復権からが主旨。言い出しっぺは小樽市の伊藤旗店の伊藤一郎さんだった。大漁旗フォーラム十周年記念にと、業種を越えた職人を全国から200人集め、大成功に終えた。
永さんの「職人と語る」の最初に登場する職人が、富山県の石工・岩城信嘉さんである。
26年前の春だった。私の娘が妻の実家熊本で生まれ、初めての我が子と対面。大阪で乗り継ぎ、帰りの車中で週刊文春を買って読む。その中に永六輔さんの対談記事があり、相手が岩城さんだった。あどけない石像の写真を見て感動。娘の寝顔と似ていたのだ。富山で途中下車し、岩城さんと会って、小さな赤石の像を求めてきた。それは今も娘のお守り代わりとなって我が家にある。
職人を愛する能代市のライター、野添憲治さん著の「秋田の職人たち」は16人の職人さんから聞き書きした名著。48年発行のあとがきに、「職人衆の素晴らしい人生の見方や生活に対する考え方に、ハッと心が清められた。長い生活の苦労を刻んで、皺くちゃになっている顔の美しいことに、目を見張ることが多かった」とある。
今、16人の職人さんの多くは、亡くなったり、後継者はほとんどいないと聞いた。
日本人は古来、自然の豊かさのなか、繊細な感覚で、小さな美しいものを愛でてきた。使いやすく、丈夫で美しいものをつくることにかけては神業である。
第2回全国職人学会inあきたが今年10月13、14日の両日、秋田市で開催される。テーマはーつたえよう 美と技の心意気ー
永六輔さんの講演、職人を語らせたら天下一品の噺家入船亭扇橋師匠の落語、職人連の分科会、子ども達への職人入門体験工房がある。全国の職人さんが集まり、いい顔の美と技にお目にかかれよう。
職人志望の子ども達も来られたし。君たちは日本の経済、文化の新生を担っている。