雪中酒
 今冬も暖冬かと思いきや、二月末になってドドッと大雪。連続3日朝、玄関先の雪かきをする羽目となった。
 雪上野球は雪がないとできない。日本で初めての雪上野球は昭和53年1月16日、秋田県立球場でだった。「秋田県を面白くする会」対「焼き鳥ひょうちゃんず」の2チームで行われた。昭和59年には日本雪上野球連盟(石井千万太郎会長)が結成された。暖冬が続き、13回目の大会からは、雪の多い由利郡東由利町に誘致され、今では全県選抜大会として今年、第9回目は12チームが出場し、2月27日に開催された。
 第1回目の雪上野球。県立球場に積もった雪は5センチだった。前日まで、積雪ゼロ。東京から取材にきたルポライター小田豊二と自宅で飲んでいた。明日雪が降らなかったら雪上野球でなく、泥んこ野球にしようかと話していた。そこへ電話。職場の先輩、渋谷達雄さんだった。「みっちゃん、窓の外を見てみろ」カーテンを開けると雪がチラチラ舞っていた。
 渋谷さんも対戦相手のひょうちゃんず監督、佐藤寛さんももうこの世にいない。一昨年若くして大腸ガンで逝ってしまった。彼の葬儀に行けずに「いい奴だけが先に逝く どうでもいいのが残される」と電報を打った。後に、奥さんから弔電披露の一番先に読まれましたと聞いた。
 寛さんと相談して雪上野球のルールを色々変えた。雪中だからともかく身体を動かそう、打って走らせようとボール五球でフオアボール。各塁上では必ずスライディングする事。そして試合中でも酒を飲んでいいことにした。雪見酒ではない雪中酒である。
 第9回目の秋田県選抜雪上野球大会。会場の東由利町町民球場には積雪150センチ。我が秋田県を面白くする会は参加者が二人だけで、ミネソタ大学秋田校のジョンモック監督率いるアメリカチームに合流。各チームの選手は、一点だけ何かに統一したものを付けなければ行けない。我がチームは鉢巻きをしてきた。そこにこう書かれている。「いい汗 うま酒 よき仲間」雪上野球のよき仲間同士で、東由利町特産のフランス鴨と隣の大森町の大森ワインを合わせた特産パックが生まれた。今年の優勝は3年ぶりに地元チームのポパイ。表彰式後の懇親会で仲間と話した。来年は10周年だから全国大会をやろう。旅行社と提携して、雪中酒+黄桜温泉とフランス鴨+大森ワインの旅として募集する。雪見酒+温泉+図書券付麻雀はやらない。