「遺影」

 秋田県知事公舎。去年3月末の夜。元秋田県連合青年会幹部20人と、知事夫妻を囲んで懇親会が開かれている。そこへ小西吉則さんがやってきて、やあやあとジーパン姿の知事と二人、短い間別室へ消えた。小西さんの実力を見る思いだった。
 当日、秋田市山王では毎日新聞大阪本社運動部に転勤になった来住哲司記者の送別会が開かれている。
 知事公舎からのタクシーで小西さんと一緒に来住記者の送別会に向かった。タクシーの中で、色々アドバイスを受けた。小西さんとじっくり話したのはあれが最後だったろうか。いやその後も秋田の川反で一緒だった気がする。
 お見舞いにも行かず、お葬式にもいけずじまいで申し訳なく思っています。

 亡くなられて数日たってから、ご自宅を訪ねた。奥様とお会いし、さんざんお世話になったお礼を申し述べた。
 横手に来ると小西さんに連絡しないと怒られる関係になっていた。
 何時だったか、横手に来たと電話すると、大友直君のアパートに行こうという。当時、秋田テレビの横手支局員だった大友君のアパートを訪ねた。小西さんは、赤ちゃんのはるかちゃんを本当の孫のように可愛がり、ニコニコして何枚も写真を撮る。孫の顔を見たいがために、私をだしにして来たかのようであった。
 湯沢に出張した折りも、横手から訪ねて来てくれて、二次会までやっかいになった。福祉活動に情熱を傾けている話に「偉いなあ」と感服して聞いた。
 秋田市でも、山王、川反でよく一緒に飲んだ。とうとう、恩返しも出来ないままになってしまった。

 ご自宅には小西さんの遺影が飾られていた。カメラを構えたポーズ。小西さんからは小生が10年前から発行している「ふるさと呑風便」を創刊号からとってもらっている。今月号ですと奥さんに渡すと、祭壇に持っていかれ、「あなた、佐々木さんが呑風便を届けてくださったわよ」
 その言葉を聞き、小西さんの遺影を眺めたら、涙がこぼれて仕方がなかった。
 小西さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。(合掌)